裁判所での離婚:審判離婚
調停に代わる審判を「審判離婚」といいます
家庭裁判所は、離婚調停が成立しない場合に、
1・家庭裁判所の判断で、家事調停委員の意見を聴いて、(この場合離婚調停を行った、調停委員です)
2・当事者夫婦が公平であるように考慮して、
3・さらに、一切の事情を見てから、
4・家庭裁判所の権限で、当事者夫婦の申し立ての趣旨に反しない範囲内で、
5・事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。
この審判については、金銭の支払その他財産上の給付を命じる事ができる。
以上が家事審判法第24条にある条文「審判離婚」になります。
上記条文は私が可能な限り分かりやすく記載してみましたために、本来の法令の意図をやや曲げる表現もありますが、ご容赦ください。
この「審判離婚」についてですが、上記に記載の通り家庭裁判所の判断ですので、ご自身で「審判離婚」を申し立てることができません。
「審判離婚」と「調停」の違いは?
審判は、当事者による合意を目指す調停とは違い、裁判官が事実の調査を経て判断を下します。
事実の調査とは、当事者の主張立証によらず、裁判所が判断に必要な事実を調査することです。
しかし、迅速で公正な判断のためには、当事者が積極的に自分の言い分を主張したり、資料を提出したりすることが必要です。
そこで、家事事件手続法(2条)は、当事者も信義に従って誠実に手続を遂行するとしています。
相手方としても申立人としても、家庭裁判所にお任せというわけにはいかず、積極的に資料を提出し主張をしていくことが求められます。
なお、調停から審判に移行する場合、新たに申立書を提出する必要はありません。
また、調停時に提出した資料や書面を家庭裁判所が事実の調査の対象とした場合、新たに提出する必要はありません。
逆に調停不成立で訴訟となった場合には、そのように記録が引き継がれるわけではありませんので、新たに訴状などの主張書面と証拠を提出する必要があります。
このように、裁判ではないのですが、調停の延長線上にある手続きと考えていただければ、良いと思います。
「審判離婚」でもダメな場合は?
この「審判離婚」の審判がが下った後に、当事者が異議を申し立てた場合はどの様な方法があるかを説明します。
一つは「裁判離婚」へと移行する方法。
もう一つは、家庭裁判所の審判に対して、その審判内容は不適切だとする、「即時抗告」する方法があります。
(家庭裁判所の判断にケチを付けることです)
即時抗告がなされた場合、家庭裁判所は、再度、考案し、抗告に理由があると認めれば、その審判を訂正します。
また、即時抗告が不適法又は理由がないと判断すれば、その旨の意見を付けて、事件を抗告審に送ります。(高等裁判所になります)
では、抗告審(高等裁判所)における審理はどのように行われるのか?
まず、家庭裁判所によって出された審判を前提として、「抗告に理由があるかどうか」につき、相手の意見も聴いた上で、審理・判断されることになります。
抗告審(高等裁判所)の審理は、原則として、書面審理で行われます。
(それまでに使用された、記録等を参照されると考えてください)
さらに、この抗告審(高等裁判所)の決定に対する不服申立ては、①憲法解釈の誤りがあることを理由とするとき、②過去の判例と相反する判断がある場合等を理由をするとき、抗告をすることができる。となっています。
(但し、この抗告をしたとしても高等裁判所がその抗告を許可しないとの決定する場合があります。)
あまり行われない「審判離婚」
実は「審判離婚」はあまり行われません。
家事審判法24条の「当事者双方の申立の趣旨に反しない限度」と言うのが、とても難しいからだと考えらています。
ですから、基本的に調停が不成立の場合は、「裁判離婚」へ移行すると考えていただいて、よろしいかと思います。